マラソン2ヵ月前からの練習方法を科学的根拠に基づいて詳しく解説

あなたは、マラソンの2ヵ月前からの練習方法って、何か工夫されていますか?
「正直、練習方法とか考えたことない…」
「ジョギングしかしてない…」
「自分なりに工夫しているつもりだけど、効果的なのかが不安…」
など、何かしら悩みを抱えている人が多いのではないでしょうか。
先に結論を述べますと、マラソン2ヵ月前からの練習方法について、答えはありません。
首をかしげる人も多いと思いますが、全ての人が必ず速くなる練習方法って、あると思いますか?
そんな練習方法があれば、今頃みんな速くなっていますよね。
自分に合う練習方法を、自分で探していく必要があるのです。
「何だよ、それー」
と思う人もいるかもしれませんが、安心してください。
この記事では、ランニング歴11年の私が、科学的根拠に基づいて、多くの人にハマる練習方法を紹介しています。
この練習方法をベースに、自分なりのアレンジも加えれば、あなたも自己ベスト更新できること間違いなしです。
具体的には、
- マラソン2ヵ月前から1ヵ月前までの練習方法
- マラソン1ヵ月前から2週間前までの練習方法
- マラソン2週間前から前日までの練習方法
の順に、初心者(サブ4以降)、中級者(サブ4)、上級者(サブ3)とレベル別に解説しています。
参考にしてください。
はじめに
今回の記事はボリュームが多いため、あなたのレベルに合った部分だけを読んでいただけると、スムーズに読み進める事ができると思います。
マラソン2ヵ月前から1ヵ月前までの練習方法
初心者以外であれば、マラソン2ヵ月前から1ヵ月前の練習が、一番ハードになります。
この時期に追い込むことで、一時的に疲労は溜まりますが、その後疲労を抜いていくことで、体が良い状態に仕上がります。
よって、初心者以外は、一番ハードなトレーニングであるインターバルをメニューに組み込んでいます。
初心者向け練習メニュー
この時期の初心者向けおすすめ練習メニューの例が、こちらです。
月曜日 | ジョギング(流し3〜6本) |
火曜日 | 休養 |
水曜日 | ジョギング |
木曜日 | 休養 |
金曜日 | ジョギング(流し3〜6本) |
土曜日 | 距離走(10〜20km) |
日曜日 | 休養 |
初心者であれば、マラソン2ヵ月ほど前から練習を本格的に始める人が多いと思います。
よって、この時期は体づくりのため、ジョギングメインの練習で、休養も多く設定しています。
ジョギングの時間は、30分以上が理想ですが、最初はこれより短くても構いません。
また、ジョギングの後に、流しを入れる日を設けています。
流しとは、全力の8割程度で、20秒程ランニングを行うことです。
全力ではないので、少し余裕を持って、綺麗なフォームを意識して行いましょう。
流しは、スピードトレーニングの第一歩です。
土曜のジョギングは、いつもより長めに設定しています。
長めのジョギングを入れることで、マラソンを完走しやすい体が作られていきます。
中級者向け練習メニュー
この時期の中級者向けおすすめ練習メニューの例が、こちらです。
月曜日 | ジョギング |
火曜日 | ジョギング(流し3〜6本) |
水曜日 | インターバル(疾走時間は3〜5分が望ましい) |
木曜日 | 休養 |
金曜日 | ジョギング(流し3〜6本) |
土曜日 | 距離走(20〜30km) |
日曜日 | 休養 |
中級者からは、この時期に週1回インターバルを入れています。
インターバルとは、全力の7〜8割程度の疾走をゆったりとしたジョギングを間に挟みながら、繰り返すトレーニングのことです。
疾走時間は、3〜5分が望ましいとしましたが、これには科学的根拠があります。
ランナーの速さを決める要素の1つに最大酸素摂取量というものがあります。
最大酸素摂取量とは、一定時間にどれだけの酸素を取り込めるかという値のことです。
安静時からランニングを始め、最大酸素摂取量に到達するまで、90〜120秒はかかります。
したがって、これより少ない時間の疾走では最大酸素摂取量に到達せず、効果が薄くなってしまうのです。
また、疾走時間を5分以上と長くしてしまうと、本数を繰り返せないほど疲労してしまいます。
中級者であれば、3〜5分だと800〜1500mほど走れるでしょう。
土曜には、距離走を入れています。
距離走で長い距離を走ることで、距離に対する不安を取り除くことができます。
ペースはゆっくりでも構いませんので、完走することを意識してください。
上級者向け練習メニュー
この時期の上級者向けおすすめ練習メニューの例が、こちらです。
月曜日 | 距離走(25~35km) |
火曜日 | ジョギング(流し3〜6本) |
水曜日 | ペース走 |
木曜日 | ジョギング |
金曜日 | ジョギング(流し3〜6本) |
土曜日 | インターバル |
日曜日 | ジョギング or 休養 |
上級者は、インターバルに加え、ペース走を入れています。
ペース走とは、その名の通り、一定のペースでランニングを行うトレーニングのことです。
ペースは、20〜30分走れるペースが最適です。
このペースは、最大酸素摂取量と並んでランナーの速さを決める要素である、乳酸閾値を上げる効果があります。
乳酸閾値とは、溜まり過ぎると疲労の原因である乳酸が、一気に溜まり始めるポイントのことです。
このポイントを上げれば、ペースを上げても疲れにくくなります。
上級者であるとはいえ、ハードなトレーニングの間には、ジョギングを挟んで疲労を溜め過ぎないようにしています。
まだ、マラソンまで1ヵ月以上ありますが、この時期に怪我をしてしまえば、本番走れなくなることもあるので、疲労の溜め過ぎには注意です。
マラソン1ヵ月前から2週間前までの練習方法
マラソンの練習方法において、重要になってくるのが、「期分け」という考え方です。
期分けとは、時期によって
「どの練習に重点を置くか」
を考えて練習を行うことです。
マラソン本番が近づくにつれ、負荷の高いインターバルをなくし、本番のペースや距離を意識した練習に重点を置きます。
期分けを行うことで、練習の目的がはっきりとし、効率的な練習を積むことができます。
初心者向け練習メニュー
この時期の初級者向けおすすめ練習メニューの例が、こちらです。
月曜日 | ジョギング |
火曜日 | ジョギング(流し3〜6本) |
水曜日 | 距離走(15〜20km) |
木曜日 | 休養 |
金曜日 | ジョギング(流し3〜6本) |
土曜日 | 距離走(20〜30km) |
日曜日 | 休養 |
初心者であれば、体づくりを行なった後ですので、ランニングに慣れてくると思います。
そこで、距離走を週に2回入れています。
なるべく長い距離を走るのが理想ですが、本番も近づいていますので、無理し過ぎないよう注意しましょう。
そのため、距離走の翌日には休養を入れ、疲労を取り除けるようなメニューにしています。
中級者向け練習メニュー
この時期の中級者向けのおすすめ練習メニューの例が、こちらです。
月曜日 | ジョギング |
火曜日 | ジョギング(流し3〜6本) |
水曜日 | ペース走 |
木曜日 | 休養 |
金曜日 | ジョギング(流し3〜6本) |
土曜日 | 距離走(20〜30km) or レースペースでのランニング(10〜20km) |
日曜日 | ジョギングor 休養 |
中級者は、マラソン2ヵ月前から1ヵ月前の練習のインターバルがペース走に置き換わる感じです。
こうすることで、疲労を少し抜きつつ、ペース感覚を養うことができます。
土曜は、距離走 or レースペースでのランニングとしています。
距離に対して不安な場合は距離走を。ペースに対して不安な場合は、レースペースでのランニングを行なってください。
マラソン本番が迫っているので、距離もペースも本番と同じ負荷の高いトレーニングは行わず、どちらか一方に重点を絞りましょう。
上級者向け練習メニュー
この時期の上級者向けおすすめ練習メニューは、こちらです。
月曜日 | レースペースでのランニング(10~20km) |
火曜日 | ジョギング(流し3〜6本) |
水曜日 | ペース走 |
木曜日 | ジョギング |
金曜日 | ジョギング(流し3〜6本) |
土曜日 | 距離走(25〜35km) |
日曜日 | ジョギングor 休養 |
上級者も、初級者・中級者と同様、本番のペースや距離を想定した練習を増やしています。
初級者や中級者と違うのは、ハードな練習の距離や頻度、休養日数です。
ジョギングの時間やペース、休養の有無などは、各自で判断して、疲労を溜め過ぎないようにしてください。
マラソン2週間前から前日までの練習方法
マラソン2週間前からは、練習で追い込むことよりも、疲労を取り除くことを重視します。
疲労を取り除き、ピーキング(調子が最高の状態)に持っていく過程のことをテーパーリングといいます。
テーパリングで重要なのが、距離や時間などの練習の量は減らしますが、ペースなどの練習の質はそのままにすることです。
こうすることで、マラソンが近づくにつれ、疲労を抜きつつ、ペース感覚はしっかりと頭に刻み込むことができます。
テーパリングを行うこの時期は、特に重要ですので、1日ごとに練習メニューを解説しています。
初心者向け練習メニュー
この時期の初心者向けのおすすめ練習メニューの例が、こちらです。
14日前 | ジョギング |
13日前 | 休養 |
12日前 | ジョギング(流し3〜6本) |
11日前 | 距離走(15〜25km) |
10日前 | 休養 |
9日前 | ジョギング |
8日前 | ジョギング(流し3〜6本) |
7日前 | ジョギング |
6日前 | 休養 |
5日前 | ジョギング(流し3〜6本) |
4日前 | 距離走(10〜20km) |
3日前 | 休養 |
2日前 | ジョギング |
1日前 | ジョギング(流し5〜8本) |
初心者は、距離走を週1回設け、その他はジョギングか休養にして、疲労を取り除きます。
ジョギングもペースは落とさず、距離や時間を減らしましょう。
4日前を最後のハードな練習にするのには、意味があります。
筋肉が回復するのには、2〜3日かかるからです。
マラソン前ですので、3日と多めに筋肉を回復させて本番に臨みます。
1日前の流しの本数が、いつもより少し多くなっていますが、これは筋肉や心肺機能に刺激を入れるためです。
筋肉や心肺機能に刺激を入れることで、マラソンを走る体の準備ができ、軽やかに走ることができます。
しかし、前日ですので疲労を溜め過ぎない程度に行いましょう。
中級者向け練習メニュー
この時期の中級者向けおすすめ練習メニューは、こちらです。
14日前 | ジョギング |
13日前 | 休養 |
12日前 | ジョギング(流し3〜6本) |
11日前 | レースペースでのランニング(10〜20km) |
10日前 | 休養 |
9日前 | ジョギング |
8日前 | ジョギング(流し3〜6本) |
7日前 | ジョギング |
6日前 | 休養 |
5日前 | ジョギング(流し3〜6本) |
4日前 | レースペースでのランニング(8〜15km) |
3日前 | ジョギング or 休養 |
2日前 | ジョギング |
1日前 | ジョギング(流し5〜8本 or 1000mをレースペースで) |
中級者も、初級者と同様、ハードなトレーニングは週1日で、その他はジョギングか休養となっています。
マラソン前に、レースペースでのランニングを行うことは、レースでのオーバーペースやスローペースを防ぐために、非常に有効です。
ジョギングやレースペースでのランニングは、本番が近づくにつれ、量は落としていきましょう。
中級者以上であれば、マラソン1日前に1000mをレースペースで行うことがあります。
マラソンの入りの1000mの予行練習のようなものです。
私自身は、1000mの刺激は少し負荷が高いため、流しを入れる方を採用していますが、人によっては、1000mの刺激の方が合う人もいます。
自分に合う調整法を探していくことも大切です。
上級者向け練習メニュー
この時期の上級者向けおすすめ練習メニューは、こちらです。
14日前 | 距離走(20〜30km) |
13日前 | ジョギング |
12日前 | ジョギング(流し3〜6本) |
11日前 | レースペースでのランニング(15〜25km) |
10日前 | 休養 |
9日前 | ジョギング |
8日前 | ジョギング(流し3〜6本) |
7日前 | 距離走(15〜25km) |
6日前 | ジョギング or 休養 |
5日前 | ジョギング(流し3〜6本) |
4日前 | レースペースでのランニング(10〜15km) |
3日前 | ジョギング or 休養 |
2日前 | ジョギング |
1日前 | ジョギング(流し5〜8本 or 1000mをレースペースで) |
上級者も初心者・中級者と同様、練習の量を落とし、質はそのままだという方向性は、変わりません。
ハードな練習を初心者・中級者と違い、週2回行う点に違いがあります。
それも、上級者のマラソン調整法のコツとして、
「トレーニング量を落とし過ぎないこと」
があるからです。
10km以下の距離の短いレースであれば、スタート後に、「体が軽い」と感じられる程度が良いですが、マラソンでは、これだと最後まで持ちません。
スタートから体が軽いと、上級者であるがゆえにタイムを狙いたい欲が出てしまい、オーバーペースのリスクが高まります。
なので、トレーニング量を落とし過ぎないことで、スタート時に「少し体が張っている状態」を作ります。
こうすることで、最初は少し体が重くても、徐々に調子が出てきて、苦しい30km以降もペースを落とさず走りきることができます。
ただし、疲労の溜まり過ぎは厳禁ですので、疲労が溜まっていると感じれば、休養を設けても良いです。
まとめ
最後に、この記事のまとめをします。
この記事では、マラソン2ヵ月前からの練習方法を3つの時期に分けて解説しました。
2ヵ月前から1ヵ月前は、初心者は体づくり、中級者以上は一番ハードな練習を行います。
また、1ヵ月前から2週間前は、どのレベルの人も、レースのペースや距離を意識した練習を増やします。
そして、2週間前から前日は、どのレベルの人も、練習の量を減らし、練習の質はそのままにします。
マラソン2ヵ月前からの練習方法の方向性としては、こんな感じで行うのがおすすめです。
しかし、冒頭でもお伝えしましたが、マラソンの練習方法に正解はありません。
よって、ここでは具体的なジョギングの時間やインターバルの本数、ペース走の距離などは、あえて記載しませんでした。
自分で工夫して、自分に合う練習方法を見つけていくことが、一番なのです。
この記事を読み、マラソン2ヵ月前からの練習方法について、ヒントを得られ、本番での自己ベスト更新につながれば、幸いです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。